冷たい王子は私の彼氏
「まことの気持ちを、君は踏みにじったんだよ?」
ドスのきいた声で、りんかちゃんを睨むお兄さん。
りんかちゃんは、一歩後ずさりして
「ま、まことなんて…まったく優しくないし嫌いよ。」
なんて、言ってしまった。
「顔は、カッコいいし昔から冷たい王子とか言ってもてはやされてたけど。
無口で、喋りかけても
あぁ。とかそうだね。しか言わない。」
「それに比べて、ヒロさんはいつも笑顔で明るくて…
ヒロさんを見たら、まことのことなんて忘れたの。ヒロさんが好きになった。」
なに?
それ。意味わかんない。
「…りんかは、俺のこと嫌いだったの?」
横田くんが、悲しそうな顔でそう呟く。
「えぇ。顔以外、全部嫌いだった。」
気がつけば、
私は車から下りて
走ってた。
誰のもとなんて、言わなくたって分かるでしょ?
大好きな、大好きな、横田くんのところ。