恋の扉をこじあけろ

「わりといいかんじれふ」


喋るのはほら、やっぱりちょっと難しいけど。


「ちゃんと毎日つけてね。寝るときもだけど、昼間もなるべくつけるように」


的井先生はゴム手袋をはずした。


今日はこれで、終わり。


それが合図となって、わたしは先生とのお別れの時間が来たことを思い知る。


いつも、この瞬間が寂しい。


わたしは寂しく思っていても、先生はそう思ってはいないだろうということも。


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