恋の扉をこじあけろ

「俺に用事があるんだろ?」


松居先生はわたしの隣にどかりと腰を下ろし、片腕を背もたれに投げ出した。


「何の用事か、わかってるでしょ?」


「そーだな。大体予想はつくけど」


松居先生の飄々とした態度にいらつきながら、彼のほうに体を向けた。



「どうして嘘ついたんですか?」


わたしは真剣に尋ねているのに、松居先生はおかしそうに口元に手をやった。


「君はさっきも俺をうそつきだと言っていたけど」


右手をぱっと広げて、首を横に振り出した。


「君が勝手に勘違いしただけだろ?俺は患者だなんて一言も言ってないしー」


む、おお。

むかつくぅ…


確かに患者じゃないとも歯科医師じゃないとも彼は言ってないけども…!

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