恋の扉をこじあけろ
それでは来週に、という的井先生の言葉を最後に電話は終了した。
携帯を両手で持って、なぜかにやける口元を周囲から隠した。
的井先生、か。
今知ったばかりの担当医の名前を繰り返してみた。
声は素敵だった。
優しそうだったし。
実際も素敵な先生だったらいいな。
とりあえず、この前の若い先生とは違うみたいだからよかった!
耳に残るイケメンボイスに酔いしれながら、冬実の言うとおりかもなんて思う。
少しだけ、病院に行くのが楽しみになってきてしまったわたし。
さっそくバッグを漁って手帳を取り出し、ピンクのペンで『大学病院』と書きこんだ。