恋の扉をこじあけろ
なんだかいけないことをしているみたいで楽しい。
みたいじゃなくて、よく考えたらいけないことだ。
こっそり先生と、会う約束してるだなんて。
おまけに遅れるかもしれないからと言って部屋の鍵まで渡された。
いいんですか?
泥棒に入っちゃいますよ、わたし。
「また夜に」
診察室を出る前のその一言に、わたしはもう天に昇りそうな気持でエスカレーターに乗った。
先生のお部屋に。
しかも、夜。
残念ながら冬実と川崎さん付きだけど、素敵な思い出になること間違いなしじゃない?
うふふふふ。
惚けていたせいでエスカレーターの終着点にも気づかず、盛大にこけてしまった。