恋の扉をこじあけろ


確かに、的井先生への恋心を認められたのは松居先生のおかげでもあるけど、だからってチョコを渡すほどではない。


しかめ面をするわたしに、松居先生が呪いでもかけるように耳元に囁いてきた。


「自分で食ったら太るぞ?」


「……」


「ぷよぷよになって、的井先生に嫌われるぞ?」


「……!」


そうだった。


わたしさっき、巨大パフェを冬実と二人で完食したばかりだったよ。


あれだけでも太るのは確実なのに、ここでチョコなんて食べたりしたら…


松居先生の思惑に乗るのはくやしい!

けど!

背に腹はかえられない!


「どうぞ!」


やけっぱちで勢いよく紙袋を松居先生の胸に押し付けると、松居先生はうれしそうにそれを受け取った。


「さんきゅー!」



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