恋の扉をこじあけろ
「考えられる原因としましては、やはり滑りが悪いんでしょうね。ちょっと待っててください…」
そう言いながら、先生はわたしの横を通り抜けてどこかへ消えていった。
隣のブースからは話し声、後方からはドリルのキュイーンという音が聞こえてくる。
わたしは脱力して、背もたれに寄りかかった。
先生、もう少し早く言ってください…
そうすれば涙目になることもなかったのに。
とりあえず、ほっとしたけど。
目に溜まった涙を拡散させるためにまばたきを何度もしていると、先生が何かを持って戻ってきた。
白くて、まるいもの。
それが何であるかわかって、わたしはげっと身を引いた。
ヒトの頭蓋骨……
の、模型?