恋の扉をこじあけろ




一か月後。



大学病院に行っても、もう的井先生には会えなかった。



「ひどい顔してんなぁ」



代わりにわたしの前にいるのは、松居先生。


松居先生はわたしの顔を見るなり、目を細めてしみじみと言った。



乙女に向かって、なんて失礼なことを。


確かにわたしの顔はクマがひどくて、コンシーラーでも隠しきれていない。


先生のことが忘れられなくて、毎晩眠れないせいだ。


最終的には、いつの間にか寝てるんだけども。


「そういや、幸宏と会ったらしいな」


「うん…合コン行ったら、いた。びっくりしたよ」


幸宏、松居先生にこの前のこと言ったんだ…。


あの日のことを思い出して、少し胸が苦しくなった。




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