恋の扉をこじあけろ
「謎のライバル宣言されたんだけど」
「それは幸宏の勝手な思い込みですから気にしなくていいですよ」
幸宏はまだ、わたしが松居先生のことを好きだと思い込んでいるらしい。
松居先生は苦笑しながら、わたしにエプロンをつけてくれた。
同じ行動なのに、的井先生のときみたいにドキドキしない。
「はい、口を開けろー」
開くところまで開けると、松居先生はほっぺたの内側に指を突っ込んで、ぐいーっと引っ張った。
「痛い痛い痛い!」
「このくらいで大げさな」
松居先生は容赦なく、痛いと訴えるわたしのほっぺを引っ張ってくる。
的井先生はこんなことしなかったのに!
いつもソフトタッチで気遣ってくれたのに、この違い!
やっぱり断然的井先生がいい!