恋の扉をこじあけろ
「何?これはどういうこと?」
戸山さんはいきなり背後から降ってきた声にビクッと肩を揺らして振り返り、背後にいたのが松居先生だと認めるとあれよというまに顔をピンクに染めた。
仕事が終わって、わたしたちの前に現れた松居先生は状況を掴めずにわたしと戸山さんを交互に見た。
「ま、松居先生、ごめんなさい、私までごちそうになっちゃって…」
「いいよ。悪いのはこいつに財布を持たせた俺だから」
松居先生は恐縮する戸山さんの隣の椅子を、ため息をつきながら引いた。
戸山さんは置いていたバッグを慌てて取ると、椅子を倒す勢いで立ちあがった。
「私、これで失礼します!松居先生、ありがとうございました!」
「ああっ、ちょっと待って!」