恋の扉をこじあけろ
「わたしはわたしなりに失恋を乗り越えていきますから…!松居先生のやり方をわたしに押し付けないでください!」
ごめんなさい、松居先生。
だって、うまくいかないんだもん。
わたしにはどうしようもできないんだもん。
逃げたい。
苦しい気持ちから、現実から。
自分の心に正直に行動して、何が悪いの?
無理をしたら、人は壊れちゃうんだよ?
強がった振りをしたって、わたしは前には進めない。
「ちょっと待て」
涙ぐんだわたしに、松居先生はストップをかけた。
「誰が失恋?」
きょとんとする。
誰って…
「わたしが…」
「失恋かどうかは、俺の話を聞いてからにしろよ。逃げるのもそれからだ」