恋の扉をこじあけろ


そう言って松居先生は一旦席を立ち、水の入った紙コップを二つ持ってきて、一つをわたしの前に置いた。


目の前の水の清らかさを見て、砂糖でどろどろのコーヒーの味を流したくなってすぐに水を飲んだ。


空になった紙コップを置いて一息つくと、松居先生がぽかんとした顔をこちらに向けていることに気が付いた。


「琴乃ちゃんそれ飲んだの?」


「え?」


「ただの水道水だったんだけど…」


「ええっ!?」


す、水道水!?


青ざめるわたしを見て、松居先生はみるみるうれしそうな顔になった。


「嘘だよーん!引っかかったー」


あぶなー!


水道水飲んでお腹を壊したことがあるわたしにとっては恐怖の瞬間だった。



それにしてもこの先生は…!



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