恋の扉をこじあけろ

リュックを背負いなおして、登山道へ向かった。

わたしの趣味はプチ登山。


毎年、春はこうやって地元の小さな山に山登りしてる。

落ち葉が積もってふかふかとした地面を踏みしめて、山道を進んだ。


木漏れ日が差し込み、鳥の囀りがどこからか聞こえる。


小さな山だから、登山道を歩く人はめったにいなくて、たまに中年の夫婦や男性とすれ違うばかり。

騒々しい日常とは離れて、まるで別の世界に迷い込んだかのような感覚。

やっぱ山登りはいい。



けども。


「はあ、ふう、はあ」


やば。

日頃の運動不足が祟って去年より息があがるのが早い。

これ絶対筋肉痛になっちゃう…


拾った大きな枝を杖がわりにして山道を登った。

そのせいですれちがった中年夫婦に、笑いながら挨拶をされた。


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