恋の扉をこじあけろ
むくれていると突然強めの風が吹いた。
飛ばされそうになった帽子をあわてて手で押さえたとき、またシャッター音が聞こえてきた。
どうやらその人は写真を撮っているらしい。
何の写真を撮っているのか気になったのと、わたしのやすらぎを邪魔した人物を見てやろうというよこしまな気持ちから、広場のほうに足を向けた。
足音をできるだけたてないように注意しながら坂を下りる。
広場のまわりにはすみれやたんぽぽが咲いていて、それを踏まないようにしながらそっと足を中に踏み入れた。
広場の隅で、男性が機材を手にシャッターを切っている。
何を撮っているのか、ここからは見えない。
この広場からは街の景色が見えないのに、一体何を撮ってるんだろう。
気になって、もう少し身を乗り出そうとしたとき。