恋の扉をこじあけろ
まず一歩




「なににやにやしてるの?気持ち悪い」



街中で、ばったり出くわしたわたしへの第一声がこれだった。


「気持ち悪いって…わたし、そんなににやにやしてた?」


「してたしてた。やばかった」


顔をひきつらせてこくこく頷く冬実に、気になって自分の顔に手をやる。


それだけではわからないので鏡がわりにカフェのガラスに映る自分を覗き込むと、やめなさい!と引っ張られた。


「あっちからはこちら側がよく見えるのよ!やめてよね恥ずかしいっ」


そ、そうでした。

うっかりやってしまった。


中の人から笑われているかもしれないと思うと、たまらなくなって冬実の手を引っ張ってそこから離れた。


少し離れたところにあるカフェで、二人でカプチーノを注文した。

冬実はデートまでの時間潰しに街をぶらついていたのだという。


相変わらず、恋を楽しんでいらっしゃるようで何より。

どことなく幸せオーラが滲み出ている。


「で、なんなの?さっきの気持ち悪い顔は」


カプチーノがくるまで待てなかったらしい。

冬実が身を乗り出して聞いてきた。


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