恋の扉をこじあけろ
「えっへへー。実はね。病院の先生、やっぱり素敵な人だったよ!」
恋する乙女さながら、きゃ、と言って手を顔の横で合わせてみる。
「ふーん」
冬実は急に興味をなくしたように身を引いた。
急変した彼女の態度に目をぱちくりさせた。
「なに、そのしらけた顔は」
「いや、どうぞ続けて?ちゃんと聞いてあげるから」
わたしは口元をぴくぴくさせた。
冬実が言い出したことなのに、興味がないってどういうこと。
ふつうここは、一緒にきゃあきゃあ言いながらはしゃぐところではないの。
「わかった、わかった。一緒にはしゃいであげるから。さ、話して?」
わたしががっかりしたのを察知したのか、冬実は頬杖をついてぐいっとこちらに近づいた。
あのねぇ、いまさら…
そうわたしが言おうとしたところで、香りとともにカプチーノが運ばれてきた。