恋の扉をこじあけろ
カプチーノに描かれたハートマーク。
よくあるものだけど、ふんわりしたハートのカプチーノはわたしのココロにピンク色をもたらした。
ハートを見つめながら、小さな声で、冬実に告げた。
「わたし…ちゃんと恋遊びできそうだよ」
カップを両手で包みこんだ。
じんわりと心地よい温かさが、手のひらに伝わって、全身に広がっていくようだった。
「…ふーん?」
冬実は、うっすらと笑みを浮かべて、わたしを見ている。
体中があたたかいのは、カプチーノのせい。
「よかったじゃない」
冬実に似合わない、優しい声で言われて、こくりと頷いてカプチーノを口元に運んだ。
ふんわり浮かぶハートが、あたたかいカプチーノとともにわたしの口に吸い込まれて、のどを通って、体中に染み渡る。
なんだか幸せな予感を感じながら、冬実に柔らかく笑みを返した。