恋の扉をこじあけろ
「今日はですねー、顎の動きをちゃんとみてみましょうね」
ちゃんとって。
最初からちゃんと診てください。
先生は診察台を倒さないで、座った姿勢のままでわたしに頭を椅子にしっかりつけるように言った。
そしてぴったりと、わたしの顎関節に両手を当てた。
当たり前だけど、
ち、近い…!
どきまぎしながらも的井先生の指示に従って、顎を前に突き出したり引っ込めたり、左右に動かしたりした。
「ん、楽にしていいですよ」
先生がわたしに背を向けてノートみたいなものに何かをメモしている間、言われたとおり楽にした。
「何かわかりました?」
的井先生の背中に問いかけると、先生はノートをぱたりと閉じて振り返った。
「わかったよ。牧原さんは通常の人より顎を後ろに動かせないみたいですね」
そう言って先生が取り出しのは…
でた。
頭蓋骨ちゃんだ。