恋の扉をこじあけろ
病院の廊下を歩いていると、目がくりっとして、イキイキとした表情の可愛い女の子とすれちがった。
彼女の艶やかな長い髪から、ふんわりと甘い香りが香ってきた。
思わず振り返ってしまう。
年齢的にはわたしとあんまり変わらないはずなのに、この違いは何なのだろう。
月とすっぽん?
彼女の艶やかな髪が、歩くたびにさらさら揺れた。
廊下の真ん中に間抜けに立ちすくみながら、遠ざかる彼女の後ろ姿に見とれていると、松葉杖のおじいさんが邪魔そうにわたしをチラ見していった。
…なんか、いいな。
歩き方も、スタイルも、ファッションですら彼女は完璧だった。
彼女が輝いてみえたわたしは、帰り道、いろんな美容グッズをバカみたいにたんまり買って帰ったのだった。