恋の扉をこじあけろ



歯医者に行くのに口紅はつけない。

これはオトナのエチケット。


でも、リップクリームくらいいいよね?


「エプロンつけますねー」


こくりと頷いた。


内心とっても浮かれまくって。


的井先生の指が髪に触れる瞬間が好き。


ふつう、恋人でもない限り男性から触れられることなんてめったにないところを触られるというドキドキ感。


恋遊びの相手には、歯医者はうってつけだったみたいだ。


ちょっと申し訳ないけど、先生のおかげで病院に行くのも楽しいし。


いいこと教えてくれてありがとう冬実!


「今日から、スプリントをつくっていきますね。そのために、上あごの型をとります」


「はい」


「じゃ、ちょっと変な味するけど我慢して」

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