恋の扉をこじあけろ

何度も確認していると、給仕さんがあんみつを運んできてくれた。


「お待たせしました、あんみつでございます」



運ばれてきたはずのあんみつが、まばたきをした隙に一瞬で忽然と姿を消した。




あれ!?



「行こう琴乃!」


「はあ!?」


冬実はあんみつを二つ持って、すでに的井先生のところへ向かっていた。


ぎゃあああー!

こ、心の準備ができてないのにー!




自分の興味の赴くまま、わたしのことなんておかいましな冬実は、待ってなんかくれない。


わたしが立ち上がったときにはすでに話しかけていた。


「すいませーん。相席いいですかぁ」


何言ってんのよおぉ!



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