恋の扉をこじあけろ


腹をたてていたことなんて脳内からあっという間に消え去った。

当たり前だけど、私服姿の的井先生を見るのは初めてで興奮した。


先生はカットソーにネイビージャケットを着こなしていて、もう、鼻血がでそう。

でるかもしれない。


「へぇー、祐助の患者さんなんだ。こんな若い子診れるなんてうらやましいなぁ」


対する的井先生のお友達、川崎さんは全身黒でセンスがない。

着こなせれば違うんだろうけど、そうじゃないから泥棒みたいだ。


学生時代の友人らしいけど……


「川崎さんも歯医者さんですか?」


「違うよ。俺はただの商社マン。祐助とはサークルが一緒だったんだ」


「へえ、サークル!何のサークルですか?」


冬実が川崎さんに食いつく。


もうほっとこう。


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