恋の扉をこじあけろ

「いたい…」


「自分の顎の状態をわきまえて食べるように」


「はい…」


おっしゃる通りでございます。

二度と致しません。


先生は反省したわたしの手を引っ張って、冬実たちが待つ席に戻った。

冬実が心配そうにわたしの顔を覗き込んできた。


「大丈夫なの?」


「大丈夫大丈夫。ごめんね、心配かけて~」


そう言ってさっそくあんみつを食べようとすると、横からさっと取り上げられた。

的井先生に。


「白玉はもう食べたらダメ」


そしてひとつだけ残っていた白玉を、ぱくり、と食べた。


冬実はきゃ、と手をほっぺたに当てた。

川崎さんが白目を剥いている。


わたしは、というと。



頭の中が真っ白になってただただ的井先生の笑顔をみつめていたけど、何が起こったか理解するとくらりと眩暈がした。


うそ…


せ、先生が…

わたしの食べかけ、食べちゃった…








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