恋の扉をこじあけろ
幸い、今日は診察日。
的井先生に会える日だ。
ちゃんとこの間冬実に選んでもらった服を着てきたし、ラップパックもばっちり。
冬実の言っていた通り、唇はぷるぷるになった。
顔色は悪いけど。
先生にこの沈んだ気持ちを癒してもらおう、と考えながら病院へ向かった。
だけど。
「こんにちはー」
診察室の前でわたしを出迎えたのは、わたしと同じくらいの年齢だと思われる若い女性だった。
彼女は満面の笑顔で診察表を受け取り、わたしを診察台へ案内した。
あれ…?
的井先生は…
疑問に思いながら彼女に着いていくと、的井先生はちゃんと診察台の横にいた。
「こんにちは、牧原さん」
「こんにちは…」
先生はどことなくよそよそしい気がする。
とりあえず、いつも通りに診察台に座ると、わたしを案内してきた女性が近づいてきた。