恋の扉をこじあけろ


あれ……?


この人の声、

どこかで聞いたことがあるような…


でもこんな黒髪のジャージ姿のイケメン、会ったことないはず。


そう、イケメン。


なぜにイケメン。


イケメンってなんだっけ。


男の人は、戸惑うわたしを見て不敵に笑った。


「君さあ、的井先生に診てもらってる子でしょ」



な ん で し っ て る の ?


ごくりと息を飲んで、無意識に後ずさりした。


後ずさりしたはいいけど、すぐにコンビニの壁にぶち当たってしまい、これ以上距離をとることはできない。



それにしても


なんでこの人は、わたしの担当医が的井先生って知ってるんだろう。


何者…?


「ねえ」


彼は間に人一人分入れるくらいの距離を開けて、それ以上は近づいてこなかった。


「的井先生が好きなの?」


予想外のことを聞かれて、これでもかというほど目を見開いた。


なんで知らない人にこんなこと聞かれてるの、わたし?




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