恋の扉をこじあけろ
「琴乃がちゃんと恋できるように、練習させようと思って…なのにあいつら、調子に乗っちゃって!」
冬実が勢いよく拳をテーブルに叩きつけたせいで、こぼれそうになったメロンソーダのグラスをあわてて支えた。
そういうことだったんだ。
だから冬実はあのとき、すんなりあの人たちを受け入れたのか。
「だけど、本当は一応いいやつらなんだよ。今回のことはちゃんと叱っといたから安心してね」
「う、うん」
冬実に叱られちゃったのか。
かわいそうに。
冬実は怒ると怖いから…
怒られた二人にちょっと同情。
「そんなの必要なかったのに。わたしは今でも十分楽しいよ?」
「それじゃダメでしょう。ただの恋遊びなんだから。本当の恋じゃないんだよ」
「……」
冬実に言われて、黙り込んだ。
アイスクリームをちょっとだけ掬って口にいれると、ふわっ、と甘さが広がった。
口の中も、心も、甘く。