Time limit ー卒業まであと1ヶ月ー
それでも、時は流れていく。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
時間がない。
そうやって私は焦るばかり。
焦ってばかりで動き出せずとまっているだけ。
そして結局何度も後悔して
何度も泪を流すだけ。
ーーーでも、今は、違う。ーーー
ーーーいや、今度こそ変えてみせる。---
ーーーもう、泣くのは嫌だから。---
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「はい!そこまで!」
「解答用回収したら帰る支度して」
先生の指示を聞いたらみんな動き出した
ーあぁ~、やっと終わった。ー
ほっとしてあくびをした
「んぁ~、やっと終わったぁ」
隣の伊藤もあくびをしながら伸びをする
ーあくびをする伊藤、かわいいな・・・ー
そう思いながら帰る支度をする
「じゃあ、みんな気を抜かず勉強しろよ!」
「解散!!」
「まどか~、かえろ~」
千夏が鞄を背負いながら声をかけてきた
「うん!あっ・・・、でも私日直だった!」
ーやばい、すっかり忘れてた・・・ー
「そっかぁ。・・・!」
何かに気付き千夏がにやにやと笑いだした
「じゃあ、あたし先帰ってるね!」
そういうと千夏は教室から出て行った
ー?どうしたんだろ?ー
「まどかー!日誌って書くの?」
その声にびくっとした
ーーそうだ!伊藤と日直なんだ!ーー
内心ドキドキしていたが
「うん、書くよー!」
と平静を装い返事した
ーどうしよう、すごいうれしい!ー
ー何か、話しかけなきゃ・・・ー
「まどか。」
「は、はい!」
「仕事して。」
「はい・・・。」
シュンとしながら黒板を消し始める
ー怒られちゃった・・・。ー
少し落ち込む。
だけど、伊藤は優しいな・・・。
前日直同じだった男子は仕事してくれなかったけど
伊藤はやってくれる・・・。
ーーーそんなところも、好きだなーーー
そう思っていると自然と笑みがこぼれた
「そんなに黒板消すの楽しいの?」
後ろからいきなり伊藤が顔を覗き込んできた
「えっ!?いや、その、そういうわけじゃなくて・・・!」
突然急接近されてテンパッてしまった
ーてか、伊藤近いよっ!!-
「じゃあ、なんで笑ってたの?」
問い詰めるようにさらに伊藤の顔が近づいてきた
ーえっちょっ、ちょっと近すぎるよ!!ー
「いや、だから・・・えっと・・・。」
テンパりすぎて言葉が見つからない
「なに?俺に言えないような理由なの?」
私がテンパっているのを楽しんでいるのか
ニヤニヤと笑っている
ー・・・っ!!この男!!ー
「っもう!!離れて!!!」
手に持っているチョークまみれの黒板消しで伊藤の顔を
たたいてしまった
「うわっ!!」
黒板消しが伊藤の顔面にヒットした
「いってぇ・・・。」
チョークまみれになった顔をおさえている
「ご、ごめん!伊藤!!」
焦って伊藤に近寄った
「・・・。」
「本当にごめん!大丈夫!?」
「・・・。」
「わ、わたしなにか冷やすもの持ってくるね!」
走って水道に行きハンカチを濡らした
ーなにやってんだ、わたし。ー
ー伊藤を叩くなんて・・・ー
ーどうしよう、絶対嫌われたー
不安と後悔が押しかかって
涙が溢れてきた
涙を拭い急いで教室に戻った
伊藤は自分の席で顔を伏せ座っている
「伊藤、これハンカチ濡らしてきたから使って」
ハンカチを差しだしたが受け取ってくれない
ー怒ってる、よね・・・当たり前か。ー
また涙が込み上げてきた
ーヤバイ、泣きそうー
「・・・くはははっ‼‼」
突然チョークまみれの顔を上げ伊藤が大笑いし始めた
ーーー!?ーーー
「な、なんで笑ってるの!?」
「あははっ‼だ、だって、俺、初めて黒板消しで叩かれたし、し、しかも女子に‼」
ーーはぁ!?どこが笑えるの??ーー
頭の中は疑問いっぱいになったが
「はははっ!!まどかのことからかうのすっげぇおもしれーな!!」
まだ伊藤はお腹を抱え笑っている
ー・・・っ‼‼ー
「伊藤のバカ!本気で心配になったんだから!!伊藤に嫌われたんじゃないかって・・・。」
ーーあれ?今わたしなんて・・・ーー
さっきまで大笑いしていた伊藤は
ピタッと笑うのをやめ
わたしを見つめてきた
「ごめんな、まどか。」
そう言うと席から立ちわたしの方に来た
「別に俺、怒ってたわけじゃねえし、
お前のこと嫌いになったわけじゃないから」
真面目な顔でわたしのことを見つめる
ーーー伊藤ーーー
「てか、全然痛くなかったし!ただ顔がチョークまみれになったけどな!」
へへっと笑い目が細くなる
その表情にもうノックアウトだ・・・
ーか、かわいい!!!ー
不意をつかれキュンとしてしまった
「ハンカチ貸してくんない?顔拭きたいんだけど・・・。」
「は、はい。」
「サンキュ!」
ハンカチで顔を拭いていく
「どう?チョークとれた?」
拭き終わった伊藤が確認のため聞いてきた
「あっ、まだここついてるよ」
まだチョークがついている所を指差す
「マジで?ここ?」
伊藤はもう一度拭いていく
「とれた?」
「まだとれてない、ちょっと貸して」
ハンカチを貸してもらい拭こうとするが
わたしより身長が高いから拭けない
「ちょっとしゃがんでくれる?」
「ん!」
伊藤がしゃがみわたしと同じくらいの
高さになり、ハンカチを当てる
「・・・っ!!!」
伊藤が無言で顔を背けた
「え!?ごめん、痛かった?」
「いや、・・・そのなんかさ。」
顔を背けたまま伊藤は話してる
「なんか、妙に恥ずかしくなってさ・・・」
チラッと見えた伊藤の顔は赤かった
ー伊藤、もしかして、照れてる!?ー
「ほら、早く顔こっち向けて!」
少しからかってやろうと思い
伊藤の顔をこっちに向ける
「じっとしててね」
そう言いまたハンカチを当てる
「・・・・・・ん、」
必至に目を合わせないように
違う方向を見ている
ーふふっ、照れてる照れてるー
心の中で笑いながらチョーク拭き取った
「はい!もうとれたよ!」
「あ、ああ。」
すぐさま伊藤はわたしから離れた
「ありがとな」
そう言うと自分の席に戻り鞄を持った
「日誌、もう書けたし帰ろうぜ」
「うん!帰ろ〜」
わたしも鞄を持ち伊藤のあとを続いて外を出た
校門を出るまで伊藤は無言だった
ーちょっとからかい過ぎたかな?ー
校門を出ると伊藤が口を開いた
「もうあと1ヶ月後には卒業だな」
「そうだね・・・、なんか早いね」
そこで会話が途切れてしまった
少し間が空いてから
伊藤は少し笑みを浮かべながら
「じゃあ、また明日」
手をふった
「うん!また明日」
笑顔でわたしは手をふりかえした
そして、伊藤はわたしと別々の
帰り道を歩いていった
わたしはすこし伊藤の背中を見つめた
ーーまた明日・・・か。ーー
ーーもうあと1ヶ月後にはまた明日はないんだなーー
伊藤振り返ることなく道を曲がり
見えなくなった
「さ、わたしも帰ろ!」
そうつぶやき歩き始めた
ーーーー卒業まであと1ヶ月ーーーー
時間がない。
そうやって私は焦るばかり。
焦ってばかりで動き出せずとまっているだけ。
そして結局何度も後悔して
何度も泪を流すだけ。
ーーーでも、今は、違う。ーーー
ーーーいや、今度こそ変えてみせる。---
ーーーもう、泣くのは嫌だから。---
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「はい!そこまで!」
「解答用回収したら帰る支度して」
先生の指示を聞いたらみんな動き出した
ーあぁ~、やっと終わった。ー
ほっとしてあくびをした
「んぁ~、やっと終わったぁ」
隣の伊藤もあくびをしながら伸びをする
ーあくびをする伊藤、かわいいな・・・ー
そう思いながら帰る支度をする
「じゃあ、みんな気を抜かず勉強しろよ!」
「解散!!」
「まどか~、かえろ~」
千夏が鞄を背負いながら声をかけてきた
「うん!あっ・・・、でも私日直だった!」
ーやばい、すっかり忘れてた・・・ー
「そっかぁ。・・・!」
何かに気付き千夏がにやにやと笑いだした
「じゃあ、あたし先帰ってるね!」
そういうと千夏は教室から出て行った
ー?どうしたんだろ?ー
「まどかー!日誌って書くの?」
その声にびくっとした
ーーそうだ!伊藤と日直なんだ!ーー
内心ドキドキしていたが
「うん、書くよー!」
と平静を装い返事した
ーどうしよう、すごいうれしい!ー
ー何か、話しかけなきゃ・・・ー
「まどか。」
「は、はい!」
「仕事して。」
「はい・・・。」
シュンとしながら黒板を消し始める
ー怒られちゃった・・・。ー
少し落ち込む。
だけど、伊藤は優しいな・・・。
前日直同じだった男子は仕事してくれなかったけど
伊藤はやってくれる・・・。
ーーーそんなところも、好きだなーーー
そう思っていると自然と笑みがこぼれた
「そんなに黒板消すの楽しいの?」
後ろからいきなり伊藤が顔を覗き込んできた
「えっ!?いや、その、そういうわけじゃなくて・・・!」
突然急接近されてテンパッてしまった
ーてか、伊藤近いよっ!!-
「じゃあ、なんで笑ってたの?」
問い詰めるようにさらに伊藤の顔が近づいてきた
ーえっちょっ、ちょっと近すぎるよ!!ー
「いや、だから・・・えっと・・・。」
テンパりすぎて言葉が見つからない
「なに?俺に言えないような理由なの?」
私がテンパっているのを楽しんでいるのか
ニヤニヤと笑っている
ー・・・っ!!この男!!ー
「っもう!!離れて!!!」
手に持っているチョークまみれの黒板消しで伊藤の顔を
たたいてしまった
「うわっ!!」
黒板消しが伊藤の顔面にヒットした
「いってぇ・・・。」
チョークまみれになった顔をおさえている
「ご、ごめん!伊藤!!」
焦って伊藤に近寄った
「・・・。」
「本当にごめん!大丈夫!?」
「・・・。」
「わ、わたしなにか冷やすもの持ってくるね!」
走って水道に行きハンカチを濡らした
ーなにやってんだ、わたし。ー
ー伊藤を叩くなんて・・・ー
ーどうしよう、絶対嫌われたー
不安と後悔が押しかかって
涙が溢れてきた
涙を拭い急いで教室に戻った
伊藤は自分の席で顔を伏せ座っている
「伊藤、これハンカチ濡らしてきたから使って」
ハンカチを差しだしたが受け取ってくれない
ー怒ってる、よね・・・当たり前か。ー
また涙が込み上げてきた
ーヤバイ、泣きそうー
「・・・くはははっ‼‼」
突然チョークまみれの顔を上げ伊藤が大笑いし始めた
ーーー!?ーーー
「な、なんで笑ってるの!?」
「あははっ‼だ、だって、俺、初めて黒板消しで叩かれたし、し、しかも女子に‼」
ーーはぁ!?どこが笑えるの??ーー
頭の中は疑問いっぱいになったが
「はははっ!!まどかのことからかうのすっげぇおもしれーな!!」
まだ伊藤はお腹を抱え笑っている
ー・・・っ‼‼ー
「伊藤のバカ!本気で心配になったんだから!!伊藤に嫌われたんじゃないかって・・・。」
ーーあれ?今わたしなんて・・・ーー
さっきまで大笑いしていた伊藤は
ピタッと笑うのをやめ
わたしを見つめてきた
「ごめんな、まどか。」
そう言うと席から立ちわたしの方に来た
「別に俺、怒ってたわけじゃねえし、
お前のこと嫌いになったわけじゃないから」
真面目な顔でわたしのことを見つめる
ーーー伊藤ーーー
「てか、全然痛くなかったし!ただ顔がチョークまみれになったけどな!」
へへっと笑い目が細くなる
その表情にもうノックアウトだ・・・
ーか、かわいい!!!ー
不意をつかれキュンとしてしまった
「ハンカチ貸してくんない?顔拭きたいんだけど・・・。」
「は、はい。」
「サンキュ!」
ハンカチで顔を拭いていく
「どう?チョークとれた?」
拭き終わった伊藤が確認のため聞いてきた
「あっ、まだここついてるよ」
まだチョークがついている所を指差す
「マジで?ここ?」
伊藤はもう一度拭いていく
「とれた?」
「まだとれてない、ちょっと貸して」
ハンカチを貸してもらい拭こうとするが
わたしより身長が高いから拭けない
「ちょっとしゃがんでくれる?」
「ん!」
伊藤がしゃがみわたしと同じくらいの
高さになり、ハンカチを当てる
「・・・っ!!!」
伊藤が無言で顔を背けた
「え!?ごめん、痛かった?」
「いや、・・・そのなんかさ。」
顔を背けたまま伊藤は話してる
「なんか、妙に恥ずかしくなってさ・・・」
チラッと見えた伊藤の顔は赤かった
ー伊藤、もしかして、照れてる!?ー
「ほら、早く顔こっち向けて!」
少しからかってやろうと思い
伊藤の顔をこっちに向ける
「じっとしててね」
そう言いまたハンカチを当てる
「・・・・・・ん、」
必至に目を合わせないように
違う方向を見ている
ーふふっ、照れてる照れてるー
心の中で笑いながらチョーク拭き取った
「はい!もうとれたよ!」
「あ、ああ。」
すぐさま伊藤はわたしから離れた
「ありがとな」
そう言うと自分の席に戻り鞄を持った
「日誌、もう書けたし帰ろうぜ」
「うん!帰ろ〜」
わたしも鞄を持ち伊藤のあとを続いて外を出た
校門を出るまで伊藤は無言だった
ーちょっとからかい過ぎたかな?ー
校門を出ると伊藤が口を開いた
「もうあと1ヶ月後には卒業だな」
「そうだね・・・、なんか早いね」
そこで会話が途切れてしまった
少し間が空いてから
伊藤は少し笑みを浮かべながら
「じゃあ、また明日」
手をふった
「うん!また明日」
笑顔でわたしは手をふりかえした
そして、伊藤はわたしと別々の
帰り道を歩いていった
わたしはすこし伊藤の背中を見つめた
ーーまた明日・・・か。ーー
ーーもうあと1ヶ月後にはまた明日はないんだなーー
伊藤振り返ることなく道を曲がり
見えなくなった
「さ、わたしも帰ろ!」
そうつぶやき歩き始めた
ーーーー卒業まであと1ヶ月ーーーー