これがいわゆる逆ハーなのか!?
あれこれ考えながら放課後に。
今日はバイトだ。というか毎日バイトだ。
私の働いている所は、ごく普通のファミリーレストラン。
あと一年すれば恐らく厨房へ入れるだろうか。
いや、なんとしても給料をアップせねば…
ぐるぐる考えて、ロッカーの前で着替えていると
カウンターからの大発狂。
強盗か何かが入ってきたのかと思わせる圧倒的な空気の違い。
急いで放棄を持ってロッカー室からカウンターに出ると
ワォ (^o^)
そこに立っていたのは強盗でもなんでもなく、
近衛と綾瀬と黒澤と蓮可。
ホワイ?
近衛たちも私を見てホワイ?という顔をしている。
「あー、谷口さん。今日から入ることになった
近衛君と綾瀬君と黒澤君と蓮可くんよ」
「え?」
「4人も同時に?って思ったんだけど、
これを逃したら、あたし人生捨てたも同然と思ってね!
だってこんなイケメンが勢ぞろいなのよ!?」
興奮する店長よりも、唖然と見つめ合っている私達。
「あ!でも、大変だろうけど当分この子達の教育係として谷口さん頑張ってね!」
「…え、私がこれをですか?!」
「いいじゃない幸運じゃなぁああい!!
イケメンを独り占めできるのよ」
いや、家でも十分一緒にいるんで
きゃっ☆独り占めっ☆なんてノリは私にはなくてですね…
「意義ありーっすー」
やる気なさそうな顔で近衛が手をあげた
「なあに!??」
「俺はできる子なんでー、そこのおばちゃんに手伝ってもらわんでもいけるっすー」
おば…!?
「あ、はーい!!僕も☆僕、ちょっとあんまりメスに近づきたくないので、
ていうか僕も恐らくできる子なんでいけるよ?」
「手が触れてドキン…など僕には通用しないので、できれば厨房を希望する」
「あーずっるーい黒澤、黒豆系しか作れないくせにぃいい」
文句も言い出したこやつらは、とどまることを知らない。
「あらー、喧嘩はやめてちょーだい!イケメンさんたち!!」
ボーっとそれを眺めている蓮可に、止めて!!と口パクしたら
真顔で近衛の方を向いたけれど、
どうしていいか解らずにおどおどしていた。
だめだめやーん
「いいわよ!!どうせオバちゃんで不細工だけど、
あたしをおっさんだと思ってくれればいいわよ!!」
何かが吹っ切れた。
私は、これで成績を上げて給料アップへの道を切り開かないといけないのよ
すると、近衛たちは何かを決心したような顔でこちらに向きなおした。
「わかったぜ、おっさん」
私はこの日、おっさんとなった。