あい、してた。


キスの後、その続きを知らなかったあたしは、


その先に進もうとするアツシの手に驚いて、


思わず目を開けた。


そこには、あたしが13年間見てきたアツシじゃない、



 男、がいた。



濡れたような、鋭い、動物としての本能的な、目。


あたしは胸の芯がしびれて、
 

動けなくなった。



 動けないまま、


 アツシに体をあげた。



エアコンをつけていたのに、アツシの額から、


降り始めの雨のように、汗がぽたぽたと落ちてきた。


 




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