秘密はばれないように
「お待たせ、蒔苗先生」

「今はそう呼ぶな」

「白馬先生」

「お前、わざとだろ?ちゃんと呼べよ」

 美波は妖艶に笑った。

「呼んでほしかったら、私を楽しませてよ。いつものように」

 早くするように急かすと、白馬は美波を膝の上に乗せて電気を消して、外から誰もいないように見せた。

「遅い時間な上に雨だから、部屋が真っ暗だな」

「怖い?」

「幼馴染に言う台詞か?」

「昔は怖がっていた」

「本当に変わったな。お前」

「どんな風に変わったって言うの?」

「昔と違って、男に色目を使うようになった」

「悪女呼ばわりする気?」

「彼氏だっているのにさ、俺とこんなこと・・・・・・」

 互いの視線がぶつかり合い、顔を近づけて触れるだけのキスをした。

「しているから」

「大学生のときは真面目だったのに、社会人になって何かに目覚めたな」

「私はここの学生だったから、いつ来ても怪しまれないもの。彼にばれてしまうかもって不安はあるけど、スリルを楽しんでいるよ」

「恐ろしい女」

「帰ろうか?」

「誰が帰すかよ。俺のことだけ考えろ」

 彼からのキスの嵐が降ってきて、美波は夢中になった。

「んっ、白馬・・・・・・」

「はあっ、美波・・・・・・」

 今日も甘い波に飲まれて溺れていく。先に足をとられたのはどっち?
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