【完】*お引越しラバー*





「あら?教えてくんないの?
ちなみに俺はねー」



聞いてねーよ、と思ったけど、
松橋は喋り続ける。

もう喋らせとけと思って放置した。




「彼女、いないんだ。別れたばっかでさ…寂しいのよー。もしも、伊奈ちゃんが彼氏についてハッキリ言わないなら……いたとしても俺の都合の良いようにとっちゃうからね?」



「………。」


実際、あたしには彼氏はいない。



彼氏がいると言ってしまえばそれは嘘で。
あたしは嘘をつくのが苦手で、こんな相手にでもそこはかとない罪悪感が……。



もうこれ以上関わらなければ大丈夫だろうし、自分に正直にいた方が楽だよね!?
そうだよね!?




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