†captivity†(休載)
服の裾をキュッと握り、困った表情をする奏多くん。
……なに、この小動物。
可愛すぎなんですけど。
「どうしたの?」
そう聞くと、奏多くんはチラリと知歌を見てから、あたしの手首を、服の上からだけど、掴んで引っ張った。
「なに、え、行くの?」
一体なんだったんだろうか。
振り返ると、ニヤリと笑っている表情、さらにはいつの間に来たのか、エセ紳士までそこにいて。
「いきなりデート現場かぁ」
エセ紳士の言葉に、ムダにイラッときた。
さて、この後の予定は未定だ。
「奏多くん、まだ行きたいところある?」
そう聞くと、奏多くんは首を傾げた。
行く予定もないのに、連れ出されたのか、あたし。
どうしたんだろう、ほんとに。
「あ、もうすぐお昼だから、どこかに食べに行こっか」
ショッピングモールだし、食べ物も充実しているだろう。
そう思って奏多くんと地図のある方へ行った。
「なに食べたい?」
「洋食」
……あぁ、料理の勉強かな。