†captivity†(休載)


思い出す、あの時の五人組。

無視するし、睨むし、何様だってムカついた。

あいつらいつかしばく。



「ムカついたけど、奏多くんのせいじゃないよ。完全に奴らのせいだ。あれはナイでしょ……それで、あれ誰だったの?知り合い?」



奏多くんは俯いた。

いつものようにこくん、と頷くのかと思っていたけれど。



「きらいな人たち」

「……」



奏多くんが顔を上げる。



「僕を、きらいな人たち」



当たり前のように、無表情で、なにもかも諦めているような顔で、そう口に出した奏多くん。

なんて答えたらいいんだろう。

かける言葉が見つからない。



そんな顔してほしくないのに。

そんな事、言ってほしくないのに。



「僕、ダメなところばっかりだから」

「奏多くん」

「なにが悪いのかわからないけど、いつの間にか──」

「奏多くん!」



少し、大声を出してしまった。
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