†captivity†(休載)
「間違いか間違いじゃねぇかっつーのは、俺には計れない」
緒方先輩は、そうあたしに答える。
視線を感じるけれど、あたしは緒方先輩の顔を見ることが出来ない。
自分がとんでもない間違いをしてしまったような気がして、俯く。
「でも、アイツが今までキレた時は、泣かせたり、必要以上に怒らせて自滅で怪我させたり、そういう計算して仕返してたんだ」
『言葉』は時に、大きな凶器になる。
その凶器を、東先輩は自在に操るんだ。
「お前にだって、本当なら出来たはずだ」
そう、呟くように聞こえた言葉に、あたしは顔を上げた。
緒方先輩はを見ると、微笑みを浮かべていた。
だって、その言い方じゃ、まるで……。
「……え?」
「悟は、お前を落とすことを躊躇って、自分が逃げた。どうでもいい奴にそんなことはしない」
「東先輩が、躊躇ったって……」
それは少なくとも、あたしは東先輩にとって、どうでもよくないと思われているということ?
「やっと、止まってた時間が動き出すかもな」
「……」
「お前のおかけで」