†captivity†(休載)
東先輩の冷たい瞳が──と、思っていたいれど、よく見ると真剣な瞳。
睨んでいる……とも取れるけれど、怒りは感じない。
あたしたちには、口を出してほしくないみたいだ。
あたしは口を閉じて、奏多くんに視線を移す。
奏多くんは微笑んで、頷いてくれた。
『大丈夫』
そう、瞳が伝えてくる。
奏多くんはあたしと違って中学の時から東先輩のことを知ってるんだ。
その奏多くんがそう思うなら、きっと灯くんは大丈夫。
「黙るな、答えろ」
東先輩の質問に、灯くんが1つ深呼吸をしてから、答えた。
「奏多、俺の幼なじみなんです」
「知っている」
「和歌にそのことを話したんです。奏多が背負っていたもの全部」
「だから?」
「今度は、俺の願いを、叶えようとしてくれていて……」
東先輩は腕を組み、ずっと灯くんを見つめている。
話を聞いている。
突き放しはしていない。
だからきっと、大丈夫。
「願いって?」
「悟先輩と、また……前みたいに仲良くしたいんです」
彼はずっと、切実に願っていたんだ。