†captivity†(休載)
一体なんだと、反射的に振り向けば、そこには緒方先輩がいた。
いままでどこにいたのか、問い詰めるのは後にするとして、計ったようにして入って来たこのタイミングが気になる。
「悟」
「遅いよ、心」
東先輩は、ニヤリと彼に笑う。
まさに黒い笑み。
あたしは思ってしまった。
あぁ、こういうのが『悪友』っていうのかな。
緒方先輩はため息をついて、東先輩に言った。
「悟、そこまでにしとけ。それ以上からかってやるな」
は?
……からかうって……?
あたしは一度、今の状況を整理した。
東先輩はあたしの言葉がズボシだったから逃げて、しばらく学校に来なかった。
そして今日ひさしぶりに来たと思ったら、まだウジウジしてる(?)っぽくて。
一体どこからからかわれてたって?
あたしは緒方先輩を睨む。
発言からして、彼は今までの会話を聴いていたはずだから。
「説明、してください」
「お前が睨んでも怖くねーよ」
苦笑いの緒方先輩に、あたしの眼力は通じないらしい。
……ちっ