†captivity†(休載)
……そう、あたしは寝ていたのだ。
……ところで、今何時だろう?
緒方先輩も奏多くんも帰ってしまうほどの時間だ。
ていうか、たまに泊まってるくらいなら置いていかずにいっそ泊まっていてほしかった。
時計を見るのが、怖い。
ごそごそ、スクールバッグをあさり、ケータイを取り出す。
──画面には、00:23と表示されていた。
00時って、なんだったっけ?
えーと、あたしの頭が寝ぼけているわけじゃないなら、時計の短針が──真上を指してるんじゃないかな?
お昼かな?
違うよね。
現実逃避をするあたしの隣から、身を乗り出してあたしのケータイを覗き込んできた、緒方先輩。
「うわ、なんだメール34件に着信16件て」
「……まぁ、そうなりますよね」
あたしには、この数の大半が誰なのか、大体見当がついている。
母には
『友達の家で夕飯を食べてきます』
(厳密には友達なのか謎だし、確実に奏多くんは友達だとしても彼の家ではないけども説明が面倒なのでこう書いた)
と、一応連絡はしてあるのだ。
その連絡を彼も母伝いには聞いているはずで、彼には連絡していなかった。
まさか寝てしまうとは、思っていなかったから。
「知歌、起きてるかな」
「……は?」
ぽつり、思わず言葉にだした声に、緒方先輩は反応したのか、声のトーンが低くなった。