†captivity†(休載)


メールBOXを開いてみれば……やっぱり、知歌の名前がズラリ、並んでいた。

相当心配させてしまったみたいだ。



──安心させてあげなくちゃ。



あたしは、いつも通りの調子で、まず知歌に連絡を入れようとした。



「緒方先輩、少し電話してもいいですか?終わったら帰ります」

「……あぁ」



あたしは着信履歴から知歌に電話をつないだ。



『もしもしっ……!?』



なんというか、やっぱりというか、ワンコールで出た知歌。



「もしもし、知歌?ごめん、連絡──」

『和歌今どこなの!?遠いの!?』

「ごめん、すごく近いよ。心配かけてごめんね知歌」



1分で家着ける距離だよ、なんて言う勇気は、今の和歌にはありません。



「すぐ行くから、知歌のとこ。待ってて……って先に寝ててもいいけど。もうこんな時間だし」

『和歌、俺待ってるから。和歌見るまで寝れないよ』

「まったく。ごめん、すぐだから。……知歌ごめんね」

『待ってるから』

「ん、まってて。じゃーね」

『うん』



ぴ。

通話を切った。
< 162 / 392 >

この作品をシェア

pagetop