†captivity†(休載)
「すみません、あたし早急に帰ることになったので……って、緒方先輩?」
緒方先輩を見ると、不機嫌全開だった。
ただでさえ、いつも怖い顔してるのに、今日は、というか電話の時くらいから5割り増しで恐ろしい。
もはやいつキレてもおかしくないだろう。
なぜ?
「メール34件に着信16件、その上寝ずにお前を待ってる。愛されてんだなぁ?あ?馬歌」
「あ、まぁ、はい、そうです、ね……」
緒方先輩のキレポイントが、非常にわかりにくいです。
怖いです。
馬歌につっこむ余裕もありません。
「もしかして、緒方先輩」
「あ?」
「愛に飢えてるんですか?」
だって、一人暮らしをしているし、友達も少ないし。
(家族)愛に飢えてるから、仲良しなあたしたちの会話を羨んでるとか……。
「ザケんな!なんなんだよお前ら、見せ付けてんのかよ?」
「え、別にそういうわけでは……」
「チッ、うぜぇ。マジ……むかつく」
ぐいっ……気付けば二の腕を掴まれて片腕が背中に回っていた。
ビクリ、硬直するあたしの首に、なぜか緒方先輩の顔が近付いた……と思ったら、ピリッとした痛みが走る。