†captivity†(休載)


緒方先輩、気配なかった。

怖いって。



「ち、近いので、結構です」

「お前がちゃんと家に帰るか見なきゃ気が済まねぇ」



……保護者か?



「結構ですってば!」

「あ?まさか帰らねぇわけじゃねーよな?」

「なに言ってんですかこんな夜中に遊びに行く気なんて起こりませんてば!」



緒方先輩の脳内切り開いて見てやりたいわ。

……あ、いや、なんかグロいの想像しちゃった。

なしなし、今のなし。



「ならそこまで来てほしくねぇ理由もねぇだろ」

「それは、そうですけど……」



あたしの頭の中には、さっきの光景が簡単に浮かんだ。

あの時の、舌の感覚だって、まだ残ってるのに。



「さっさと帰るんだろ?」

「……あーもう、帰ります!帰りますよ。緒方先輩の好きにしてください」



強情な緒方先輩に、あたしの方が折れてしまった。

なんでそんなに頑ななのかよくわからない緒方先輩。



玄関を出て、エレベーターに乗ると、後ろから当然のように緒方先輩もついてきた。

……前の時は確か、コンビニ行くって言い訳してたような気がする。
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