†captivity†(休載)
いくら最上階といっても、数秒でエレベーターは1階へ到着。
はい、もう目の前は家だ。
近い近い。
着いたと同時にくるりと回れ右。
「じゃ、緒方先輩また学校で」
閉まる扉に手をふると……なぜか緒方先輩までエレベーターを降りて、エレベーターの扉はガタンと閉まった。
「……」
「……」
「……なぜ?」
緒方先輩はなぜ降りた?
降りた理由は?
まさか……どこまでついて来る気だ?
あたしは頭を抱える。
そんなに名残惜しいのか……のようには見えないけれど。
好きにしてと言ったのはあたしの方だから、彼は好きにしているのかもしれない。
もしかして、またコンビニに行くんだろうか?
こんな夜中に?
「気にするな、帰れ」
「いや気にしますけど!?」
さすがにこの距離で偶然拉致やら事故やらが起きたら、それはすごい確率だと思う。
何てったって、1分足らずで自分の部屋にすら行ける距離だ。
「……緒方先輩も、夜遊びはほどほどにですよ」
最終的に、きっと夜遊びに行くんだろうという思考回路にムリヤリ持っていった。