†captivity†(休載)
あたしが家に入るまで、緒方先輩にずっとガン見されていた。
中へ入ればもう緒方先輩は見えない。
両親に「ごめん、友達の家で寝てた」と伝えれば、「遅い!連絡しなさいよもう」と怒られた。
「知歌、すごく心配してるよ?」
母の言葉に、あたしは頷く。
「うん、すぐ行く」
知歌、ごめんね、遅くなった。
不安だったよね。
あたしは知歌の部屋へまっすぐ向かう。
ノックをして中へ入ると、知歌はベッドの上でうずくまっていた。
「知歌」
「和歌……遅いよ」
「ごめんね、友達の家で寝ちゃってて」
あたしは知歌の隣に座って、知歌の頭を撫でる。
優しく、安心できるように、そっと、そっと……。
「和歌」
「知歌、大丈夫。離れないから」
「絶対だよね」
「絶対だよ」
あたしと知歌の離れていた時間を埋めるように、知歌をギュッと抱き締める。
大丈夫だと、思っていた。
勝手に、思い込んでいた。
それは彼の、あたしのための我慢だったのに。
──壊れないように
見守らなくちゃいけない──