†captivity†(休載)


「……和歌」

「授業行って、奏多くん」

「……」



あぁ、そんな寂しい顔しないで。

まるでチワワにしか見えないから。



でも奏多くん自身は犬嫌いみたいだから口には出さないけれど。



にこり、笑って手を振れば、奏多くんもしぶしぶ手を振って、理事長室を出て行った。



「さぁて、邪魔者はいなくなったね」



ニヤリ、理事長が嫌な笑みを浮かべたのを、あたしは見逃さなかった。

しかも奏多くんを邪魔者扱いとは……。



「なに企んでやがんだババア」



緒方先輩、理事長に向かってなんという口のきき方を……!!

と、思ったら。



「アンタのその口にガムテ貼り付けてやろうか。強力なやつ」

「あ?したら殴る」

「上段回し蹴りの刑」

「うげっ」



ただの親子喧嘩が始まった。



というか、これが親子の会話であっていいのだろうか。

仲がいいのか悪いのか、よくわからない。

本気の口喧嘩……ではないと思うけれど。
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