†captivity†(休載)
思わず驚いて黙ってしまったが、その無言は肯定しているのと同じだ。
わかっているけれど、間を作ってしまったことで、それはただの誤魔化しに過ぎない。
「奏多がそんなことするはずないし、悟先輩だってしない。一緒にすごして来た限りでは、俺たち以外関わってる男なんて見かけないし、彼氏もいない」
「……」
「それに緒方先輩、俺睨んでるし」
「え?」
ふと、今まで完全に忘れていた後ろを振り返ると、彼は不自然に遠くを眺めていた。
「……緒方先輩」
「あー?」
「消えて……いや、どっか行っててください」
危ない危ない、つい本音が顔を出してしまったわ。
そして、緒方先輩の答えは。
「やだ」
だった。
まぁいいや。
まぁいいだろう。
「あたし帰る」
「あ?」
この男、単語しか話せないのか。
プチ切れ状態のあたしは、灯くんのところまで行って、鞄を受け取った。
「じゃあ二人とも、さよなら」