†captivity†(休載)
あたしは二人を置いて帰ろうとした。
なんというか、恥ずかしさとか緒方先輩の態度の怒りとかでいっぱいいっぱいだったから。
しかし、緒方先輩の横を通り過ぎようとしたとき、ガシッと手首を掴まれ、思わず振り返った。
灯くんは唖然とあたしたちをみたまま立ち尽くす。
緒方先輩は真顔であたしに視線を向け、あたしは緒方先輩を睨む。
「離してください」
「断る」
振り解こうとするが、緒方先輩の力には適わない。
あたしははやくここから離れたいのに。
灯くんに見られて恥ずかしいし、膝枕されるし、全部の原因である緒方先輩からさっさと離れたい。
──離れたかった、けど。
あたしは
いつの間にか
力強い腕に引かれて
走り出していた。