†captivity†(休載)


「和歌、それは勿体ないよ」

「……は?」

「だって和歌の周り、選びたい放題じゃないの?」



一体彼はあたしに対してどんなイメージを持っているのだろう。

そして君はそんなに恋バナがしたいのか?



「選びたい放題って……まさか先輩たちとか奏多くんとか?拒否る奴確実に二名はいるけど」



緒方先輩と東先輩は確実に拒否だろう。

あと男っていうと、灯くんに、奏多くん、幼なじみの静、知歌……は弟だから論外。

クラスの奴らは緒方先輩たちの影響で近付いて来ないし、他のクラスにもどうやらあたしは有名になったらしい。

いつの間に広まったし。



「それに、そういうのはまだいいの」

「なんで?」

「弟差し置いてそういうことできない」



知歌が幸せになれないまま、あたしが幸せにはなる気はない。

あたしは好きな人をつくらない。



「それより灯くんはいないの?好きな人」



そうあたしが切り返すと、彼は一瞬目を泳がせた。

いる……ということなのかな?



「いるの?」

「……いや」

「沈黙が怪しい」

「……殺されるかな、俺」

「は?」



意味深な言葉を吐いた。
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