†captivity†(休載)
そう口にすると、彼はいつものなんでもない優しい笑みを浮かべた。
「俺殺されるから、今のナイショね」
灯くんの人差し指が、あたしの唇に当たる。
口を開くなと言うように、一瞬だけ。
「デート終わり!もう奏多ん家行かないと」
「……あ」
灯くんは鞄を取り、立ち上がった。
「また明日」
「……あ、う、うん」
「和歌言葉少ないよ」
「……だって」
とん、灯くんがあたしの頭に手を乗せた。
座っているあたしは頭を撫でられている。
「和歌可愛い」
「は!?」
「また明日ね」
二度目のあいさつ。
あたしのあいさつを待っているのか、灯くんは動こうとしない。
「……また、明日」
「うん、明日ね」
満足したのか、そのまま灯くんは手をふってから公園を出て行った。
それから数十分の放心ののち、恥ずかしさに悶絶するのだった。