†captivity†(休載)
……いやいやまてまて、それより授業は!?
この人たちまさかオサボリとか言わないよね!?
「おい」
「あ、はい……?」
美声くんがあたしを見て声をかけてきた。
「奏多、犬は昔のトラウマになってるんだ」
「え、あ、はい」
犬、虎、馬。
ごめんなさい、バカな発言は自覚しています。
「つまり犬がいて通れなかったところに、その犬に突撃したあたしが壁的ななにかになって、通れた、と」
「そういうこと」
偉そうである。
……やっぱりこの先輩苦手だ。
なんて考えていると、再び。
「……と」
ん?
またなにか聞こえてきた。
また空耳みたいなものが聞こえた……かと思ったけれど、いい加減慣れなきゃ。
きっとまたあのキューティクル少年の声なんだから。
そう確信して耳を澄ませていると。
「……あり、がと」
……。