†captivity†(休載)


東先輩に背を向けた状態で座っていたあたしの真後ろに、彼は立つ。

無言だった。

いつもは多少なりとも騒がしいはずのクラスメイトすらも、全く言葉を発さなかった。

妙な緊張が走る。



すると……ガシリ、と、あたしの頭が真上から掴まれたのである。



「ひぁっ……!?」



思いもよらなかった攻撃に、パニックになるあたし。

今あたしの頭をガシリと掴んでいるのは、紛れもなく東先輩だ。

それ以外にこんなことを無言でしてくる人なんてあたしの知る限りではいない。



……あ、緒方先輩もしそうかも。

じゃなくて。



「な、ななななななんですかぁ……!?」



へたれてよれよれになって出た声が情けないったらない。



「テメーは」

「!?」



ブラックきた!

ブラック東先輩が降臨していた!



普段毒舌を吐くにしても口調だけは至って真面目なくせに、限界突破して本性が現れた時だけ口調が悪くなるアレだ!

あの時……東先輩を怒らせた時とおなじだ!
< 211 / 392 >

この作品をシェア

pagetop