†captivity†(休載)
「君は嫌いだ。気持ち悪い」
「な……!?」
「よく思い出せ、バカ」
『馬歌』!?
東先輩まで!?
そう言葉を……というか暴言を残して、彼はクラスを出て行った。
あ、嵐が去った……。
ポカンとしていると、さっきの東先輩の言葉に、違和感を感じた。
あの言葉、聞き覚えがある。
『君は嫌いだ』
『あたしも割と東先輩のことは嫌いです』
東先輩が学校に戻って来た時の会話。
『……なんで心も君も奏多も、お節介なんだろう。気持ちが悪いよ』
『でも、この場所から離れる気はないんだ』
思い出せと言っていたのはきっと、このことだろう。
……だから、クラスメイトのみなさん、そんなに哀れんだ目を向けないでほしい。
確かに、何も知らずにあの言葉を聞いただけじゃ、単なる暴言。
捨て犬を見るような目で見られたところで仕方がないかもしれない。
でも、あの時の話を出されれば話は別だ。
だってよく考えてみれば、今のあたしの状況は、あの時の東先輩と同じだ。
あの部屋に行かなくなった東先輩は、奏多くんが強引に引き連れてきた。